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日本農業は強いか?弱いか?-生産規模の拡大は必須か?-

「日本の農業は強いか?、弱いか?」と問うと、ほとんどの人は「弱い。だから自給率が低下している」と答えることでしょう。

政府や経済学者(農業経済学者)の多くも「外国農業に対抗し、自給率を維持するためには生産規模の拡大が必要だ」と言いますが、これも「現在の日本農業は弱い」ということにほかならない。

では「日本農業が弱い」とは本当なのか?

確かに当たっている面もありますが、全面的に正しいとは言い難いです。例えば、野菜の輸入動向を概観すると、加工品と生鮮品を合わせた野菜全体の輸入量は1985年を境に、それ以前よりも大幅に増加しています。

それゆえ、同年のプラザ合意による円高を契機に、日本の野菜農業が外国の野菜農業に比べ相対的に弱体化し、そのことが輸入の増加につながったと見ることができます。しかし、生鮮野菜に限ると、輸入動向は野菜全体の場合とは異なります。

輸入量が毎年20万トンを上回るようになるのは88年からで、野菜全体の場合よりも2年ほど遅れています。しかも、同年から国内の野菜生産力が低下し(収穫量と出荷量が減少し)、その後、生鮮野菜の輸入が急増する年には、必ず同じ年か前年に生産力の顕著な低下が認められます。

すなわち、生鮮野菜の場合は円高で外国農業に比べ、日本農業が弱体化したから輸入が増えたのではなく、日本農業の生産力の低下が輸入の増加を促したと言えます。

したがって、野菜全体、より正確には加工野菜(または加工原料用野菜)に関する限り、日本の野菜農業は85年以後の円高によって弱くなったと言っても間違いではないものの、生鮮野菜に限るならば日本農業は決して弱くなったわけではないし、もともと弱いわけでもないです。

それゆえ、加工野菜(加工原料用野菜)については生産規模の拡大によってコスト削減を進めるなどの強化策が必要だが、生鮮野菜については生産規模の拡大よりも、後継者の増加による生産力の維持に留意すべきです。

以上は野菜に関してですが、それ以外の農産物についても同様なことが言えるのでしょうか?

確かに一般論として日本農業を強化するために、生産規模の拡大は間違いではないと思いますが、作目ごとに、または用途ごとに慎重に適否を判断すべきと思われます。規模拡大によって日本産農産物としての高級感が損なわれることにでもなれば、逆に輸出においてマイナスになることもあり得るので。

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