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次世代型グリーン・ツーリズム構築に向けた取り組み-喜多方市高郷地区を事例に-

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はじめに-本稿に入る前の基本知識-
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現在は「おなかを満たす農業」から「心を満たす農業」という考え方に、都市住民を中心に意識変化が起きております。これは、グリーンツーリズムという考えの基、園芸療法、農業体験、農村交流という形が再認識され、今まで「農業=労働」だった考えから、新しい付加価値*である「福祉」「レジャー」「教育」「健康」への波及が進んでいると云われております。換言すると、日本農業は1次産業に3次産業的(主にサービス業)要素を求められる時代になったと言えます。

* 新しい付加価値の要素・・・婚活、福祉、修学旅行や社員研修の教育的要素、スタディツアー(今回のテーマ:農業を学べて人脈も作れる)、子どもの情操教育の一環など

 

【グリーンツーリズムのツアーを作るポイント】

■ 観光客のターゲットを絞る

■ ターゲットが求める付加価値要素を取り入れる

■ 体験活動の目的をしっかり決める

■ 相場にあった料金をつける

■ 目的を達成するための活動内容を組み合わせる

■ お客様の都合を最優先

■ お客様の都合と地元の都合が合致すれば波及効果が期待できる

■ 行程はしっかりと地域の人と交流する時間をとる

 

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さて、この度、喜多方市グリーン・ツーリズムサポートセンターがイベント企画する「農都交流プロジェクト モニターツアー in 喜多方市高郷地区」に参加しました。

これは社会貢献したい、企業の活力と生産性を高めたい、社員の心身の健康サポートをしたいなど企業の皆様の思いに対する一つの解決策として福島県が進める『平成28年度福島県「元気な農村創生企業連携モデル事業 農都交流プロジェクト」』の一環です。

周知のとおり、日本農業は高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増大など課題が山積みであります。一方で、企業も新入社員の早期退職や社会に蔓延するストレスなど現代人は心の豊かさが脅されていると云われております。

そういった現状を鑑みて、本投稿では、都市と農村双方の利益を最大化させる形でマッチングおよび波及効果が期待できる「農都交流プロジェクト」を観察し、喜多方市高郷地区で行われたモニターツアーを紹介することで食品・食用農産物にかかわる方々、また協業や新規参入を考えている異業種の方々の実践的マーケティング力の向上だけに留まらず継続的なwin-win関係の構築まで昇華することが出来れば幸いです。

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農都交流プログラムとは
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都市型企業と農山村地域間の新しい「交流・連携」を創造し、双方の課題を解決する取組です。具体的には、都市型企業や教育機関等が、農山漁村地域での実地研修を通して、市と農林村地域それぞれに住む人々がお互いの地域の魅力を分かち合い、双方が抱える様々な課題を解決する都市と農山漁村の交流の新しいスタイルです。

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【農山村地域で期待される効果】

+ 新しい産業や雇用の創出

+ 地域資源の再評価と有効活用

+ 地域産品の開発や販路開拓

+ 地域住民の自信・やる気の創出

+ 世代間交流と地域の賑わい再生による新たな経済効果

 

【都市型企業・教育機関などで期待される効果】

+ 都会では行えない人材育成、社員研修

+ 問題解決能力、コミュニケーション力の向上

+ 活力ある組織づくり

+ 社員のレベルアップ「創造力」「発想の転換」「感謝の気持ち」

+ 社員その家族の健康維持や増進(福利厚生面)

 

【共通で期待される効果】

+ 地域住民と都市生活者間の人・モノ・文化の交流創出

+ 「顔の見える」信頼関係の構築

+ 双方の抱えるさまざまな課題の解決

 

農都交流プロジェクトの効果は以上となります。実際的な手法としては、農村地域の資源(農地・森林・人材・食・暮らしの知恵・伝統文化・廃校など)を活用した交流プログラムを開発し、絵に描いた餅にしないため企業と農村の連携や交流促進を行うコーディネートが必要不可欠です。

実際に、今回グリーン・ツーリズムサポートセンターがイベント企画したモニターツアー(喜多方市高郷地区)の目的と工程を以下で紹介します。

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モニターツアーの主な目的
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①喜多方市の観光と教育旅行の紹介と誘致

②地域課題の解決の糸口を企業と喜多方で探る

③喜多方市高郷地区の良さを知り、友人に拡散してもらう

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モニターツアーの日程
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・日本三大ラーメンである「喜多方ラーメン」と「雷神そば」を堪能

・ホーリーバジル畑見学

・旧・雷神山スキー場管理棟でオリエンテーション

・棚田での稲刈り

メンタルヘルス講習の説明

・地元の酒蔵「会津錦」の見学・試飲

・「ふれあいランドたかさと」温泉入浴

・地元のイベント「たかさと棚田ウォーク」の手伝いと参加

・地元の方と意見交換会

・高郷ソウルフード「生ホルモン」バーベキューの夕食(地域住民参加)

・農家民宿に宿泊

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最寄り駅に到着したら、市長や行政の方々が出迎えてくれる歓迎ムード、そして忙しい中、不平不満を一切口に出さない地域住民の「おもてなし」に私は感動しました。

 

商売は人と人とのやりとりですので、完璧なプログラムがあっても、それを生かすも殺すも「人」が大事だと再認識しました。

* 三つの目的達成に受け入れ側が必要な要素

 

そもそも、この地区は教育旅行を中心としたグリーン・ツーリズムをもう20年も前から実施しており、日本有数の「蔵とラーメンのまち」と評され、毎年約190万人の観光客が訪れ、さらには農業体験の受け入れ等に関しては、H21年に8,000人を超える小中学生を受け入れた実績があります。

これが実現できる理由は、豊富で層の厚い体験メニューの「問い合わせ・申し込み・決済など」の全てをNPO法人喜多方市グリーン・ツーリズムサポートセンターが窓口となってワンストップでサービス提供している事が挙げられます。

また訪れる方をきめ細やかに対応をし、農家さんだけでなく、まちの人すべてが「自分の大切な人」として接する『喜多方流のおもてなし』がここのリピーター&ファン化を促進するのでしょう。まさに安全・安心な喜多方流グリーン・ツーリズムの賜物です。

しかし、残念な事件がおき、喜多方のグリーン・ツーリズムに変化がおきました。東日本大震災です。これにより、教育旅行を中心としたグリーン・ツーリズムのお客様は激変。5年たった、今でも40%程度しか戻っていない状況。

東北の風評被害。

それは東北地域の最大の課題かもしれません。数値という安全性を勝ち取っても、都会で農産物など売れない状況。都会にセールスしに行っても、現状は厳しい。なぜ同胞を助けたいという意識が芽生えないのか、という感情が生まれる。でも、都会では小さな子どもや大切な家族を守りたいがゆえに東北産を避ける。

考えた結果の選択。両者どちらも悪くないからこそ、この憤りをどこにぶつけたらいいのか。

 

少し感情的になって恐縮ですが、地元農家さんの生の声をきいた瞬間、咄嗟に皆にこの現状を知ってもらいたい、という使命感が生まれました。微力ですが、コミュニケーションツールを駆使し、まずは友達同士で拡散するなど間接的な支援が生まれれば幸いです。

また、こういった農都交流プロジェクトではなくてもいいので地域住民と交流ツアーに参加していただける導線設計も考えたい。情報化社会とはいえ、やはり「Face to Face」が大事だからという考えです。

 

また当社に関しては、今回のような体験型・メンタルヘルス企業研修プログラム、課題解決型のCSVやCSR創出研修プログラムで学んだ事を活かし、またこのご縁で出会った素晴らしい方々と共に、新たな事業を考えたいです。それが最高のオモテナシへの恩返しですので。

因みに、現在は新品種開発、それによる地元生産者や飲食店の活性化プロジェクトを計画中です。さらには、今回モニターツアーに参加した異業種の方々の強みを生かせる異業種連携型のコンソーシアムを考え、次世代型グリーン・ツーリズム構築に寄与出来れば日本の食と農はもっと面白くなるはずです。

 

最後になりますが「答えは農村にあります」。企業と農村の出会い、交流を深め、共に取り組むことでそれぞれにとっての新しい力と未来が生まれるはずです。

***補足***

今回、地元の人に地元の良さを再確認してもらうことの大切さを知りました。都会人という客観的な立場でみると、地元の方が普段行っている自分たちの生活の価値にきずいていないからです。よくある話ですが、都会人にはお刺身とエビのテンプラを出す。それは地方の方に聞くと、地元の普段の食事だと「おもてなし」にならないから、刺身やエビのテンプラを振る舞うという現象。地酒にあう料理、その土地の水や気候にあった伝統食品など、都会人は都会で体験できない、または食べられない「おなかと心を満たす農業」を求めているので、それが価値になると思います。

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