上海環貿広場CitySuper催事販売及び上海西郊市場視察
日時:2月21日 10:00~ 場所:City’super 上海 iapm Store 陜西南路駅近 ispmモール 商品:青森産陸奥・ふじりんご |
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City’super (催事販売場所)
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C!ty’superは、香港を中心に展開するブランドスーパーマーケットです。九龍倉集団の一つ子会社であり、1996年に元香港西武の館長だった故人石川正志によって創業され、今まで香港で4店舗、また中国大陸、台湾、日本でも展開しています。
写真:香港City’super 多くの生鮮品と清酒が陳列されていた
ここ上海店も世界中から取り揃えた高品質な製品、店舗内での効果的なサービス展開が功を奏しており、在留邦人は少なかったが現地富裕層や欧米人が多く利用しているようでした。また日本産品が浸透している香港系列の高級スーパーゆえ、ここ上海店にも日本産のりんごが置いてありましたが、香港店と比べて、商品アイテム数が圧倒的に少なかったです。10都県産(福島、栃木、群馬、茨城、千葉、宮城、新潟、長野、埼玉、東京)の食品については「放射能の影響が懸念される」として引き続き全面的に禁止とされているゆえ、中国への輸出はいまだ厳しい状況だと言えます *2015年3月現在
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催事販売のプレスリリース (事前告知内容)
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この度、日本の農産物流通業界最大手の東京青果、中央魚類、大田花きで組織された東京都生鮮物輸出協議会が、2月21日に開催される上海環貿広場CitySuperにて青森産りんごの試食会を開催します。このりんご試食会では、安心・安全・美味しいという日本農産物の良さをアピールし、上海市場向けの輸出規模を拡大することが目的です。 日本の農産物を輸入希望の商社の方、また日本農産物にご興味がある方は、この機会にぜひ、試食会並びに商談会に足をお運びいただければ幸甚です。
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催事販売の感想
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大連出身で、中国本土と在日中国人ネットワークを持つ楊氏の提案で中国人向けにプレスリリースを打ちました。彼女がプレスリリースを打つも、今回は準備不足と云う事もあり、記者やバイヤー計5社ぐらいの引き合いで終わってしまった。運営側の規制、小規模な催事であったためか、記者から取材をされるものも記事まで繋がらなかったのが残念でした。さて、催事販売ではキャンペーンゆえ陸奥(むつ)32元、ふじ19元/玉 で販売PRしました。 日本円では、陸奥640円、ふじ380円(×20倍)ですので高額と思いきや、運営側は青森産大玉りんご1,800円、化粧箱つき3,000円/玉 で販売しておりましたので、それに比べると低価格なので飛ぶように売れるのだろうと高を括っておりました。ただ完売こそはしたのですが、試食や説明が上手くいかず販売するのに苦戦しました。
おそらく、世界で一番ポピュラーな日本産りんごといえば「ふじ」だと言えます。非常に魅力的でモダンなりんごという評価をうけ、歯応えとさわやかな甘みを持ち、日持ちもいいので抜群の人気です。ただ、ふじは日本のみならず世界中で栽培されていますので、高品質で日本産と比べて低価格の韓国産が中華圏や東南アジアではライバルとなっております。また、アメリカやニュージーランドのピピン(翠玉)は果肉が硬く密で、甘酸適和で芳香ゆえにここ上海でも日本産に負けない強気な価格で販売されておりました。
それらを鑑みると、この催事販売で苦戦したように、日本産は高品質で安心・安全といったブランド力だけでは通用しなくなっているのかもしれません。インターネット上でも、日本産ふじりんごを絶賛する声は多数ありますが、他の国がもの凄いスピードで時代に合わせて品質や機能性を高めている事実があります。現に、催事販売でも「これであれば中国産のりんごの方が美味しい」と厳しい意見もありました。
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新総合卸売市場である上海西郊市場を視察訪問
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上海は中華人民共和国の直轄市(他、北京・重慶・天津)であり、国務院により国家中心都市のひとつに指定されています。商業・金融・工業・交通等の中心として発展してきた上海は、中国最大の港湾であるのみならず、コンテナ取扱量ではシンガポールや香港を凌ぎ、世界1位となっています。
さて、City’super 上海での催事販売でお伝えしように、 日本のリンゴを食した中国の方が「もっとミツが欲しいわ、これなら中国の方が美味しいわ」 という厳しい意見がしこりになって残っておりました。アメリカ産ピピン(翠玉)や韓国産ふじなら兎も角、中国産のリンゴの方が美味しいという意見が多かったのは意外でした。今回、その真相を掴むことを自分の課題として、新総合卸売市場である上海西郊市場を視察しました。
市場内は日本の市場よりも綺麗で正直驚きました。この一角(写真)が、今回お世話になった卸売会社を経営する方のスペースであり、販売商品は主にりんご・梨・みかんなど中国産果物といいます。
別添のりんごは、中国で最高峰の品質を誇るそうですが、流通上の問題のせいか、りんごに埃が少しつくので、手で拭いてから販売すると云います。正直、梨もりんごも甘くてみずみずしくて美味しかったです。強いて言えば、酸味が全くないゆえ個人的には日本で食べるリンゴの方が美味しいと思いました。
英語を上手く聞き取れなかったのですが、金額はだいたい一箱500円と云うので、日本産と比べると圧倒的にコストパフォーマンが高いです。また社長に「りんごに酸味が全くなかったが、中国では果物が甘ければいいのでしょうか?」と質問したところ『将来的に日本産りんごに近づけたいので、今後は甘味や酸味などバランス良い規格を生産したい』と返答。それを実現する根拠として、日本に近いセリシステムを導入し、このセリシステムにより価格差が生まれることで、高値で取引される果物の情報が産地や小売で共有され、結果的に売れる規格を農家が生産することで農業経営安定化に繋げられるそうです。
形が悪い、甘すぎるだけの果物は自然に淘汰され、舌が肥えた中国人富裕層の嗜好に合わせた生産方式をとれば、彼の考えや取り組み内容は実に現実的であります。そういったことを鑑み、日本でも安心安全ブランドだけに留まらず、付加価値やコミュニケーションツールを駆使した広報戦略など練り直す必要があると感じました。
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